味噌の特性 料理科学の森




日本人には馴染みのある調味料である味噌。今回は、味噌の特性について見てみよう。
味噌は、調味以外にも以下のような働きがある。

①緩衝能(かんしょうのう)があり、入れる材料によって大きくpHが変化することがなく、味が変化しにくい

②魚や肉などのメチルアミンや不飽和脂肪酸不快なにおいをマスキングする

③味噌に漬け込むことで味噌の中のプロテアーゼなどにより肉や魚の肉質を柔らかくする

④酸性(pH5.0~4.8)を示すので、緑色野菜のクロロフィルが退色する


②③については、ぼたん(しし)鍋、西京漬け(味噌漬けにした魚は焦げやすいので注意)

④については、味噌汁などにほうれん草を入れる場合、60℃以下であれば緑黄色野菜(ゆでたもの)を入れても色はほとんど変わらない


ここからは主観だが、味噌には大まかに2種類の使い方がある。

味噌本来の風味を楽しむ
味噌汁は加熱しすぎると、コロイド粒子がうま味成分を吸着しながら大きく結合し、香り、味、舌触りが変化する。(基本的には、好ましくない)つまり、調理の最後の方で使用する。(味噌汁に味噌を加えたら火を止める理由)

臭みを取ったり、肉を柔らかくする
味噌煮など、生臭みを消すために味噌を用いる場合、加熱の最初から味噌を加える必要がある。したがって、風味が減るためあっさりした白味噌より、どちらかといえば味や香りの濃い豆味噌(たとえば八丁味噌)や麦味噌(仙台、信州味噌)が好まれる。

参考文献 タケヤみそ公式ホームページ 創業料理科学事典 NEW調理と理論 「こつ」の科学 おいしい料理には科学がある理由

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