蜂蜜の特性 料理科学の森




普段パンに塗ったりヨーグルトにかけたりする蜂蜜ですが、その特性を解説します。
蜂蜜は、そのほとんどが転化糖(果糖とブドウ糖が1:1ぐらい)でできています。

転化糖とは、ブドウ糖と果糖の混合物。ショ糖より甘く感じられ、あとを引く濃厚な甘みを持つ。加えて転化糖は還元糖の一種なので、アミノーカルボニル(メイラード)反応が起こりやすい。つまり、お菓子などの焼き色がつきやすいという特性があります。さらに、吸湿性(水分を吸着しやすい)と保水性(吸着した水を保持する)が特に強い
(例)しっとり仕上げるため、カステラ生地などに蜂蜜が配合されているのはこのため。

また、蜂蜜にはアミラーゼという名の酵素が含まれています。この酵素は、でんぷんを加水分解する性質を持っています。(例:カレーに蜂蜜を入れたら次の日にシャバシャバになってた)

さらに、蜂蜜にはボツリヌス菌の休眠胞子が含まれる事が多いので、1歳未満の子供には絶対に食べさせたらいけない。(※加熱をしてもボツリヌス菌は熱に強いため、絶対に食べさせてはいけない)


ここからは主観の話です。

●「濃度の付けたソース」や「カレー」に入れた蜂蜜のアミラーゼを失活させる温度は色々調べたがハッキリとは分からない。ただ、私の感覚では、20分以上煮込めば大丈夫であろう。

●たまに、「蜂蜜は腐らない」と書いてある記事がありますが、普通に腐ります。これは、もともと水分があるのに加え、相対湿度が60%を超えると空気中の水分を吸収するためです。

●たまに「蜂蜜は肉を柔らかくする」というのを見かけます。ハッキリした理由は見つからなかったが、考えられる答えとしては
①蜂蜜のpHは約3.9(酸性のため肉を柔らかくする)
②砂糖と同様に、肉の保水性を上げることで肉が固く締まるのを防ぐ
と思われる。

●吸湿性が高いので、パンやケーキがしっとり仕上がり、水分の蒸発が遅く、湿度の高い日は吸湿する。

●フェノール性抗酸化物質が含まれるため、焼き菓子では酸敗臭が付きにくく肉料理は温めなおしによる風味が出にくい。

参考文献 総合調理科学事典 マギーサイエンスキッチン お菓子「こつ」の科学

公式ホームページ 料理科学の森